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最近、メディアなどでよく話題にのぼる「女装男子」。女子並みにお肌のお手入れをしたり、お化粧やマニキュア、女性のような服装などをしている男子のことを指す。実際に、女装男子は増えているのだろうか?

「増えたと思う」と話すのは、ヤヨイさん(仮名)だ。

「個人的な感覚ですが、しっかりメイクをして、スカートなど女性の服装で堂々と街中を歩いている男性を、前よりよく見かける気がします。今は、そういった男性に対し、周りの人もとりたてて注目したり、騒ぎ立てることもありませんし、自然と周囲に溶け込んでいますよね」

また、そこまで完璧な女性化でなくても、男性たちの持ち物から女性化を感じるとヤヨイさんは言う。

「ある時、取引先の男性が、いかにも女性が持つような三日月型のバッグを持っていたんです。男性が仕事で使うバッグと言えば、スーツケースやトートバッグという思い込みがあったので、ちょっとびっくりしました。その男性は見た目も性格も男性的。女性的なタイプではないのですが、とてもオシャレなんです。それ以来、電車の中などで観察してみると、特に女性的に見えないけど、女性っぽいバッグを持っている男性って、意外と多いんですよね」

女装や女性化というより、男性と女性のファッションの境目があいまいになっているという傾向もありそうだ。性別を問わないユニセックスな洋服や小物は以前からあったが、そうした「男女どちらかのくくりに入らない」ユニセックスから、「女性向けと言われるもの」に、男性たちが価値を見いだしたということなのかもしれない。


■もっと前から存在した、女性的な男子

アラフォーのヒロミさん(仮名)は、「辻仁成の件で注目されるようになっただけで、女装男子は最近だけの傾向ではない」と話す。

「私が大学生の頃、中性的なルックスの武田真治やいしだ壱成の人気が出て、あえてレディースの洋服を選んで着る男子が少しずつ増え始めたんですよね。私の男友達も、見た目や心は完全に男子でしたが、『レディースの方がデザインも豊富だし、身体にフィットするから』とレディースばかり着ていましたよ。他にも、体育の授業とか、運動後に顔を洗った時のために、化粧水や乳液を持ち歩いている人もいましたし。女子以上にお手入れを怠らなかったその男子は、お肌がツヤツヤでしたね。その化粧水男子に最近会った友達は、『相変わらずお肌がキレイだった』と感心していました」

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■男性を女性化させるのは社会からのメッセージ?

一方、エリコさん(仮名)は、職場の後輩から「就活を機に、エステに行ったり、脱毛する男子がいる」という話を聞いて驚いたという。

「その話を聞いて、男性を女性化させているのは、女性や世の中かもしれないなと思いました。テレビをつければつるんとしたお肌の美少年がたくさん出ているし、男性化粧品や整髪料のCMは、男性たちに『もっときれいに、もっとさわやかになれ』というメッセージを送り続けているでしょう。就活のためにエステや脱毛をする男子がいるのは、『お手入れしてキレイになった方が、好感度が高い』というメッセージを世の中から受け取っているからでは」

では、お肌のお手入れや女性のファッションを好む男性は、実際にどんな思いでいるのだろうか。ヒロシさん(仮名)は、こう話してくれた。

「普段は女性もののTシャツやズボン、ユニセックスな服を着る程度で、化粧もしません。ですが、イベントの時はメイド服のコスプレをしたりしますし、女装コスプレイベントにも参加したこともあります」

ヒロシさんが女装していることは、つきあっている彼女も知っているそう。

「女装した姿でテレビに映ったときは、それを彼女と一緒に見ました。僕の場合、ネタやキャラ作りとして女装をしているので、近しい人に認めてもらえると嬉しいですね。それに、男性が女性のような服装をしたり、メイクをすることは、誰に迷惑をかけるわけでもないので、個性として認めてもらえればと思います」

女性がパンツスタイルなど男性的な服装をしたり、男っぽい口調で喋っても、女装男子のように注目されることはない。しかし、男性的な服装をする女性が少なかった時は、今より風当たりも強かったのでは。そう考えれば、女装男子や女性的なものを好む男性の存在は、今後さらに自然な存在として受け入れられていくのかもしれない。




【記事提供元】独女通信 http://news.livedoor.com/category/vender/90/